第66話 トラップ上達の秘密!少年サッカーは「見る力」が成功のカギ
はじめに
サッカーを指導していると、多くの子どもたちが「トラップ」や「パス」「ドリブル」の技術に意識を集中しています。確かにこれらの技術は重要ですが、実はそれ以前に習得しておきたいスキルがあります。それが「見る」ことです。
試合の中で「ボールを止める」前に、周囲の状況を確認しているかどうかで、その後のプレーの質が大きく変わります。この記事では、サッカーにおける「見る力」がなぜ大切なのか、そしてどのように育てていけるのかを詳しく解説します。
目次
- サッカーにおける「見る」とは?
- なぜ「見る力」がトラップより先に必要なのか
- 見ることで広がるプレーの選択肢
- 「見る力」を育てる3つの習慣
- トレーニングで意識したい「観る・診る・見る」の違い
- 試合で発揮される「見る力」の具体例
- 「見る力」を育てる具体的な練習方法
- プロ選手も徹底している「首振り」の習慣
- 見る力がもたらす心理的な効果
- チーム戦術と「見る力」の関係
- 保護者ができる家庭でのサポート
- 最後に:見る力を育てることは未来への投資
1. サッカーにおける「見る」とは?
サッカーにおける「見る」とは、単にボールを目で追うことではありません。味方の位置、相手の動き、スペースの有無、ゴールまでの距離など、さまざまな情報を瞬時にキャッチすることを指します。
つまり「見る=情報収集」です。情報を多く持っている選手ほど、落ち着いて正しい判断ができるため、自然とプレーの質が高まります。
2. なぜ「見る力」がトラップより先に必要なのか
多くの子どもがトラップでミスをしてしまう原因は、技術そのものではなく「準備不足」にあります。準備不足とは、ボールが来る前に周囲を見ていないことです。
例えば、相手がすぐ背後に迫っている状況で何も見ずにトラップをすると、ボールを失ってしまいます。逆に、事前に背後を確認していればワンタッチでかわすことも可能です。
つまり「見る力」が身についていれば、トラップの成否だけでなく、その後のプレー全体がスムーズになります。
3. 見ることで広がるプレーの選択肢
「見る」ことで選手は複数の選択肢を持てるようになります。
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味方がフリーなら素早くパスを出す
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相手が寄せてきたらワンタッチでかわす
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スペースがあればドリブルで持ち運ぶ
このように、トラップの前に情報を持っていれば「受ける」動作が攻撃の第一歩となります。逆に情報がなければ、止めた瞬間に迷いが生じ、相手にボールを奪われるリスクが高まります。
4. 「見る力」を育てる3つの習慣
① 首を振る習慣
ボールが来る前に首を振り、周囲の状況を確認することはプロ選手でも徹底しています。練習の中で「何回首を振れたか」を意識させると効果的です。
② 声を使って確認する
「右フリー!」「戻せるよ!」など、味方と声を掛け合うことで、見る範囲が自然と広がります。自分だけでなくチーム全体の「見る力」が育ちます。
③ 見た情報を行動につなげる
ただ首を振るだけでは意味がありません。確認した情報を基にプレーを選択することが大切です。「見たけど使えなかった」ではなく、「見たからこそできた!」という実感を持たせましょう。
5. トレーニングで意識したい「観る・診る・見る」の違い
指導現場では「見る」という言葉をさらに3つに分けると理解しやすくなります。
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観る:広い視野で全体を把握する(ピッチ全体を見る)
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診る:状況を分析する(相手DFの位置や距離を判断)
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見る:具体的な対象を確認する(パスコース、味方の動き)
これらを意識的に組み合わせることで、ただの「視覚」から「判断」にまで進化させることができます。
6. 試合で発揮される「見る力」の具体例
実際の試合で「見る力」がある選手とない選手には明確な違いが出ます。
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見る力がある選手:ボールを受ける前に首を振り、相手のプレッシャーを避ける。トラップと同時に次のプレーを決定している。
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見る力が弱い選手:ボールが来てから慌てて状況を把握しようとするため、動きが遅れ、相手に奪われやすい。
特に中盤の選手は「見る力」の差がチーム全体の攻撃力に直結します。
7. 「見る力」を育てる具体的な練習方法
見る力は試合の中だけで自然に身につくわけではありません。普段の練習から意識的に取り組む必要があります。ここでは簡単に取り入れられるトレーニングを紹介します。
① コーンチェックトレーニング
選手がボールを受ける前に、コーチが後方や横に数字カードを掲げます。選手は首を振って確認し、答えながらトラップやパスを行います。こうすることで「見る→判断→プレー」という一連の流れが習慣化されます。
② ミラートレーニング
2人1組で向かい合い、1人がリーダー役として左右に動きます。もう1人は首を振りながらボールを扱い、相手の動きに合わせてパス方向を決定します。これは「相手を観察する力」を養い、ゲーム感覚に近い状況を作り出せます。
③ 色コールゲーム
ピッチの周囲に赤・青・黄のマーカーを置き、選手はボールを受ける直前に「赤!」といったコーチの声を聞いて確認します。確認してからトラップ・パスを行うことで、自然と視線を上げる習慣がつきます。
これらは短時間でできるため、普段の基礎練習に組み込みやすいメニューです。
8. プロ選手も徹底している「首振り」の習慣
「見る力」と聞いてもイメージが難しい場合、プロ選手の動きを参考にするとわかりやすいです。
有名な事例として、元イングランド代表のフランク・ランパードや、現役ではマンチェスター・シティのケビン・デ・ブライネがいます。彼らはボールを受ける前に平均して 数秒間に5回以上首を振っている と分析されています。
これは「次にどこへボールを運ぶか」を受ける前に決めている証拠です。つまりプロレベルでは、トラップは単なる「止める」技術ではなく、「次の行動へつなげる準備動作」に変わっているのです。
少年サッカーの段階でこの習慣を身につければ、将来的にプレーの質が大きく変わります。
9. 見る力がもたらす心理的な効果
「見る」ことは技術面だけでなく、選手の心理面にも良い影響を与えます。
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安心感が生まれる:周囲の状況を事前に把握していると、相手に詰められても落ち着いてプレーできる。
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判断の速さが自信になる:味方にすぐパスを出せることで、「自分は試合をコントロールできている」という感覚を得られる。
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ポジティブな声掛けにつながる:周囲を見ている選手は自然と「ここ空いてるよ!」と味方に伝えられるため、チーム全体の雰囲気も良くなる。
逆に「見ていない」状態だと、プレッシャーを受けて焦りやすく、ミスを恐れるようになります。つまり「見る力」は技術だけでなく、メンタル面の安定にも直結しているのです。
10. チーム戦術と「見る力」の関係
個人技術としての「見る力」は、チーム戦術にも深く関わっています。
例えば、ポゼッションサッカーでは「次のパスコースを見てから受ける」ことが前提です。受け手が見ていなければ、出し手はパスを出せず、ボールが止まってしまいます。
またカウンターサッカーでも、「前方のスペースを素早く確認できるか」が勝負の分かれ目です。トラップ前に視野を確保していれば、相手DFが整う前に一気にゴールへ迫ることができます。
つまり「見る力」は個人の上達だけでなく、チーム全体のスタイルを支える基盤でもあるのです。
11. 保護者ができる家庭でのサポート
「見る力」を育てるのは練習だけではありません。家庭でも工夫次第で鍛えることが可能です。
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試合観戦で質問する:「今、あの選手はどこを見てたと思う?」と子どもに問いかける。
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映像を一時停止して考える:「この瞬間、パスとドリブルどっちを選ぶ?」と一緒に考える。
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日常生活でも習慣化:横断歩道を渡るときに「右と左を見てから渡る」など、普段から「見る→判断→行動」の流れを意識させる。
こうした習慣が自然とサッカーに結びつき、プレー中の判断力を底上げしていきます。
12. 最後に:見る力を育てることは未来への投資
サッカーは「止める」「蹴る」といった技術に注目されがちですが、本当に差がつくのは「見る力」です。
ボールを持つ前に状況を把握できる選手は、試合を支配し、仲間を助け、そして自分自身のプレーに自信を持てます。
「見ること」を軽視せず、日々の練習から意識して取り組むことが、未来の大きな成長につながるのです。
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