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第61話 サッカーにおける守備の優先順位とは?JFAの考えに基づく守備の原則と育成のヒント

目次

  1. はじめに:なぜ「守備の優先順位」が大切なのか

  2. JFAが示す守備の4つの優先順位とは
     2-1. ゴールを守る(ゴールを奪われない)
     2-2. ボールを奪う(奪うタイミングと方法)
     2-3. 相手の前進を防ぐ(遅らせる/制限する)
     2-4. 奪われた後すぐに奪い返す(ネガティブトランジション)

  3. 守備の優先順位を意識した指導・トレーニングのポイント

  4. 育成年代における守備の意識づけと効果

  5. まとめ:守備は「能動的なプレー」である

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1. はじめに:なぜ「守備の優先順位」が大切なのか

サッカーは「攻守の切り替え」が激しいスポーツです。特に守備においては、「なんとなくボールを追う」守備と、「優先順位を理解して整理された」守備とでは、チーム全体の安定感が大きく変わります。

日本サッカー協会(JFA)は、育成年代に向けて「守備の優先順位」を明確に提示しています。これは単なる戦術論ではなく、子どもたちが状況判断をしながら主体的に守備に関わるための「考え方の順番」を教えるためのものです。

守備の原則を理解しておくことで、

  • 個人の対応力が向上

  • チーム全体で連動した守備ができる

  • 無駄な失点が減る

  • 攻撃への切り替えもスムーズになる

ここからは、JFAが提唱する守備の優先順位を一つずつ解説していきます。

2. JFAが示す守備の4つの優先順位とは

JFAは「守備の優先順位」を以下の4つに整理しています。

1. ゴールを守る(ゴールを奪われない)

最も大切な守備の目的は 「失点しないこと」=ゴールを守ること です。
つまり、相手に決定的なチャンスを与えないように、自陣ゴール前を固めることが最優先です。

⚽ 具体的な行動例:

  • ゴール前では無理にボールを奪いに行かず、「シュートコースを消す」「身体を投げ出してブロックする」など失点を防ぐ行動を優先

  • DFラインが崩れたときは、まず中央を閉めて、相手を外に追い出す

  • GKとの連携で「最後の砦」をつくる

🗝️ポイント:

ボールに行くよりも「ゴールを守る」ことを第一に。特にペナルティエリア内では慎重に対応。


2. ボールを奪う(奪うタイミングと方法)

2つ目の優先順位は 「ボールを奪うこと」 です。
ただし、「奪うこと」自体が目的ではなく、どこで・どうやって奪うかが重要です。

⚽ 具体的な行動例:

  • 相手がトラップミスや背後を向いたタイミングで一気に寄せて奪う

  • 一人で無理に奪いに行かず、味方と連携して2人・3人で奪う

  • 「前から行く守備」「ブロックを作って待つ守備」など、状況に応じて判断する

🗝️ポイント:

奪うべき場所とタイミングを見極める力が重要。「奪えないなら遅らせる」判断も大切。


3. 相手の前進を防ぐ(遅らせる/制限する)

相手に自由に前進されると、守備陣形が崩れてピンチになります。
そこで大切なのが、「相手の前進を防ぐ」こと=遅らせる・コースを限定する守備 です。

⚽ 具体的な行動例:

  • ボール保持者に距離を詰めて、前を向かせない

  • パスコースを切りながら、相手の選択肢を制限する

  • 味方が戻る時間を稼ぐために「遅らせる守備」を行う

🗝️ポイント:

「ボールを奪えなくても、前に進ませない」守備は立派な仕事。むしろチームを助けるプレー。


4. 奪われた後すぐに奪い返す(ネガティブトランジション)

最後の優先順位は、攻撃から守備に切り替わった瞬間に「奪い返す」意識 です。
これを「ネガティブトランジション」と呼びます。

⚽ 具体的な行動例:

  • ボールを失った直後に「すぐ奪い返す」ため、周囲の選手が一斉に寄せる

  • ファーストディフェンダーが素早くプレッシャーをかけ、他の選手がカバーに入る

  • 3〜5秒で奪い返せない場合は、素早く「守備の陣形」に切り替える

🗝️ポイント:

守備のスタートは「ボールを失った瞬間」。全員で連動した切り替えが命。

3. 守備の優先順位を意識した指導・トレーニングのポイント

指導現場では、この優先順位を「順番に理解させる」ことが大切です。以下のような流れで段階的に身につけていくと効果的です。

ステップ1:ゴール前での守備(ブロック作り)

まずは「ゴールを守る」ことを最優先で教えます。
・1対1で身体を張る
・ゴール前でのシュートブロック
・中央を締めて外に追い出す

👉 トレーニング例:

  • ゴール前での2対2、3対3

  • 「絶対に点を取らせない」ゲーム形式


ステップ2:奪いどころを見極める

次に「ボールを奪うタイミング・場所」を学ばせます。
・中盤でのプレス
・奪った後に攻撃に繋げる意識

👉 トレーニング例:

  • 4対4+フリーマンのボール奪取ゲーム

  • タイミングを合わせた2人でのボール奪取


ステップ3:遅らせる・限定する守備

「前に進ませない」「味方を待つ」守備を意識させます。
・DFラインが整うまで時間を稼ぐ
・外に追い込むコース取り

👉 トレーニング例:

  • 1対1で縦突破を防ぐ守備

  • コース制限の2対2


ステップ4:切り替えの守備(奪い返す)

最後に「失った瞬間の守備」を習慣化します。
・攻撃中の選手もすぐ守備に戻る意識
・チーム全体で一気にプレッシャーをかける

👉 トレーニング例:

  • 奪われた瞬間の4秒間ルール

  • ゲーム形式の「即時奪回ゲーム」

4. 育成年代における守備の意識づけと効果

守備というと「我慢」「受け身」といったイメージを持つ子も多いですが、実は守備はとても「能動的」なプレーです。
JFAがこの優先順位を示す背景には、「子どもたちが考えながら主体的に守備に関われるように」という意図があります。

守備の優先順位を学ぶと…

  • 状況判断が早くなる(どこに戻るべきか、いつ奪うべきか)
  • チーム全体で声をかけ合う文化が育つ

  • 個人としても「守れる選手」になれる

特にジュニア年代では、「まずゴールを守る」「味方を助ける」など、チームのために動く守備の価値観が育ちます。

5. まとめ:守備は「能動的なプレー」である

サッカーにおける守備の優先順位は以下の4つでした

  1. ゴールを守る

  2. ボールを奪う

  3. 相手の前進を防ぐ

  4. 奪われた後すぐに奪い返す

この順番は、守備を整理するうえでとても大切です。
「ただ追いかける守備」から「考えて守る守備」へ
選手たちがこの考え方を身につければ、チーム全体の守備力が格段に上がります。

そして守備とは、決して「やらされるもの」ではなく、「自分から仕掛けるもの」
守備の優先順位を理解することは、子どもたちにとっても「サッカーをより深く楽しむ第一歩」なのです。

こんな場面でも意識しよう!

  • ゴール前の1対1 → 「まずゴールを守る」

  • 中盤で相手が背を向けてる → 「今が奪いどき!」

  • 数的不利なカウンター → 「遅らせて味方を待とう」

  • ボールを失った瞬間 → 「全員で奪い返すぞ!」


おわりに

指導者にとっても、保護者にとっても、守備はつい「ミスを責める場面」になりがちです。
しかし、守備こそがチームを強くする土台
攻撃的なチームほど、守備の優先順位をしっかり整理しています。

JFAの考え方をもとに、選手たちが「なぜ守るのか・どう守るのか」を理解できるような指導・声かけを心がけていきましょう。

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