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第81話 ジュニア年代に戦術指導は必要か?育成視点で分かる正しい考え方と年代別アプローチ

目次

  1. はじめに|「戦術は早すぎる」という誤解

  2. ジュニア年代における「戦術指導」の定義

  3. 戦術指導が不要だと言われる主な理由

  4. 本当に重要なのは「教える内容」と「教え方」

  5. ジュニア年代で戦術指導を行う3つのメリット

  6. 年代別に見る戦術指導の適切なレベル

  7. 戦術指導が逆効果になるケースとは

  8. 良い戦術指導・悪い戦術指導の違い

  9. 保護者が知っておくべき戦術指導の視点

  10. まとめ|ジュニア年代に必要なのは“考える力”を育てる戦術指導

1. はじめに|「戦術は早すぎる」という誤解

ジュニア年代のサッカー指導において、「戦術指導は不要」「まずは技術だけ」という意見は根強く存在します。しかし、この議論の多くは戦術指導=大人と同じ複雑な約束事という誤解に基づいています。育成の本質は、勝利至上主義ではなく、将来を見据えた選手の成長にあります。では本当に、ジュニア年代に戦術指導は必要ないのでしょうか。

2. ジュニア年代における「戦術指導」の定義

まず整理すべきは「戦術指導」の意味です。
ジュニア年代における戦術とは、フォーメーションや決まり事を暗記させることではありません。

  • 数的優位・不利の理解

  • スペースの認知

  • 攻守の切り替え(トランジション)

  • 味方・相手・ボールを同時に観る習慣

これらはすべて判断を伴うプレー選択であり、広義の戦術的要素です。つまり、戦術指導とは「考えるための材料を与える指導」と定義できます。

3. 戦術指導が不要だと言われる主な理由

戦術指導に否定的な意見には、一定の合理性もあります。

  • 技術習得の時間が減る

  • 指示待ちの選手になる

  • 自由な発想が失われる

しかし、これらは戦術指導そのものが原因ではなく、指導方法の問題であるケースが大半です。誤った戦術指導が、成長を阻害しているに過ぎません。

4. 本当に重要なのは「教える内容」と「教え方」

ジュニア年代で最も重要なのは、「正解を与えない戦術指導」です。
例えば、「ここでパスを出せ」と指示するのではなく、

  • なぜパスが選択肢になるのか

  • 他にどんな選択肢があったのか

を問いかけることで、選手の思考は深まります。戦術とは行動を縛るルールではなく、判断の質を高めるためのフレームワークです。

5. ジュニア年代で戦術指導を行う3つのメリット

① 判断力の向上

戦術指導を行う最大のメリットは、選手の判断力が体系的に育つ点にある。ボール保持時・非保持時を問わず、相手・味方・スペースを同時に認知し、最適な選択を行う経験が積み重なることで、プレーが感覚任せにならなくなる。これは指示待ちを防ぎ、自ら考えて行動できる選手を育てる土台となる。判断力は試合経験だけでは伸びにくく、戦術的な視点を与えることで初めて質が高まる。


② 技術の「使いどころ」が理解できる

ドリブルやパスといった技術は、戦術理解と結びつくことで初めて実戦で機能する。戦術指導により「なぜ今その技術を選ぶのか」が明確になると、プレーの再現性と成功率が向上する。単なる技術練習では、上手いが活きない選手になりやすい。一方で戦術を伴った指導は、技術を目的ではなく手段として捉えさせ、試合の中で正しく使い分ける力を育成できる。


③ サッカーIQの土台形成

ジュニア年代での戦術指導は、将来的なカテゴリー移行への準備として重要な役割を果たす。数的優位、ポジショニング、トランジションといった原理原則を早期に理解しておくことで、8人制から11人制への移行もスムーズになる。これは目先の勝利ではなく、長期的視点での選手育成に直結する要素であり、サッカーを「理解してプレーする」選手を育てるためのサッカーIQの基盤となる。

6. 年代別に見る戦術指導の適切なレベル

  • 低学年(1〜2年)

低学年では戦術を「教える」のではなく、プレーの方向性と目的を自然に理解させることが重要である。ゴールを目指す、ボールを奪ったら前に進むといった基本的な原則を、言葉よりも体験を通して学ばせる段階である。ポジションや形を固定する必要はなく、攻守の切り替えや仲間と関わる楽しさを感じさせることが最優先となる。戦術は概念として触れる程度に留め、自由な発想を尊重する。


  • 中学年(3〜4年)


中学年では、周囲を見る力が発達し始めるため、スペースやサポートの概念を戦術的に導入する適期である。ボール保持者の周囲に立つ位置、味方を助ける動き、数的有利を作る感覚などを、簡単な言葉とトレーニングで理解させる。プレーを制限する指示ではなく、「なぜそこに動くと良いか」を考えさせることで、判断力と協調性が同時に育つ段階である。


  • 高学年(5〜6年)


高学年では、戦術的な原理原則を言語化し、プレー選択の質を高める指導が求められる。数的優位・不利、ライン間、攻守の切り替えといった概念を理解することで、試合全体を俯瞰して考える力が養われる。ただし、決まり事を増やしすぎることは避け、状況に応じて判断を修正する余地を残すことが重要である。将来の11人制を見据えた思考の基盤形成が主目的となる。

段階的に抽象度を上げることが、育成の基本です。

7. 戦術指導が逆効果になるケースとは

以下のような指導は注意が必要です。

  • 勝利のためだけの戦術固定

  • ミスを戦術理解不足として叱責

  • 指示が多すぎて選手が考えない

このような環境では、戦術指導は成長を妨げる要因になります。

8. 良い戦術指導・悪い戦術指導の違い

観点   良い戦術指導   悪い戦術指導
目的   思考力育成   勝利・管理
方法   問いかけ中心   指示・命令
結果   自立した判断   指示待ち

戦術指導の質は、指導者の哲学に大きく左右されます。

9. 保護者が知っておくべき戦術指導の視点

保護者が「戦術=難しい」「自由がなくなる」と感じる必要はありません。むしろ、良質な戦術指導は、

  • 自分で考える力

  • 失敗から学ぶ姿勢

  • 周囲と協力する力

といった、スポーツを超えた価値を育てます。結果だけで判断せず、子どもの思考の変化に目を向けることが重要です。

10. まとめ|ジュニア年代に必要なのは“考える力”を育てる戦術指導

結論として、ジュニア年代に戦術指導は必要か?という問いへの答えは明確です。
「やり方を間違えなければ、戦術指導は不可欠」です。

重要なのは、勝つための戦術ではなく、考える力を育てる戦術。
その積み重ねが、将来どのカテゴリーでも通用する選手を育成します。
ジュニア年代の戦術指導は、未来への投資であり、育成の質を左右する重要な要素なのです。

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